PMFではなくCMF(クリプトマーケットフィット)、Farcasterにみるweb3プロトコルの勝ち方
Crypto Market Fitという新しいweb3プロジェクトのグロース戦略について解説します
💡2月15日更新の新着のEpisodeはこちら。今回も濃厚な内容になっているかと思いますw
今更聞けない?web3の基本概念とプロジェクト起ち上げ時の留意点
そして今回のSubstack記事のpodcastはこちらからどうぞ!タカジCPさん、今回も素晴らしい書き起こしをありがとうございます🙇🏻♂️
以下本文内にある第一人称の「僕」は全てスピーカーであるkinjoのことを指します。
2022年10月にTwitter創業者のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏AT(Authenticated Transport)Protocolという分散型ソーシャルメディアプロジェクトの概要を発表しました。
これは過去に彼が「The biggest issue and my biggest regret is that it became a company.=私の最大の課題と後悔は、それ(Twitter)が会社になったことです」とツイート。
Twitterを営利として扱ってしまった反省から、Twitterを公共財として再チャレンジするためのプロジェクトとして分散型TwitterともいえるAT Protocolを展開するといったところで話題になっています。
今回は、そのAT Protocolに対抗しうるFarcasterというサービスを参考に、Go To Market戦略、PMF(プロダクトマーケットフィット)、そして、web3プロジェクトならではといえるCMF(クリプトマーケットフィット)へどう展開していくかといったところをお話ししたいと思います。
このお話は以下の記事の記事を参考にさせて頂いています。
Crypto Market Fit: Redefining Product Market fit in web3
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?
PMFとは、プロダクト(製品・サービス)がマーケットにフィット(適合)している状態です。あらゆる事業は初期の段階でPMFさせて利益や売り上げを得てビジネスを展開しています。
今、売り上げを継続的に立てている企業は、どこかの段階でPMFして顧客が集まる仕組みを作っているわけで本当にすごいと思います。
極端な例になりますが、TOYOTAは最初は手織り機(織機)を製造する会社でした。そこでPMFしてお金を作り、そのお金や技術を活用して自動車事業に乗り出しました。また任天堂は最初に花札を作り、それがPMFしてゲーム制作に至り、三井財閥も最初は質屋兼酒屋を開いて越後屋を興して、それがPMFして後の商社になる、といったようにどんな企業もスタートアップ時にPMFして0→1を達成させてスタートしています。
a16zなどは、PMFしたいなら人が欲しがるものを作れ、といっています。そして、本当にPMFすれば細かい指標など関係なくすぐにわかるといってます。
これはPMFしてるかな?といった段階はまだPMFに至ってはいないと。本当にPMFしていれば、売上の数字が一気に伸び、運営チームが対処しきれず、サーバーの処理が追いつかず、ユーザーからの問い合わせやクレームがさばけない、など本当に騒然とした状態になるのがPMFしている状態だといっています。
PMFにはフェーズもあると思います。最初の0→1を達成する時のPMF、ある程度成長した段階のPMFなど、マーケットやターゲットによってもPMFは変化していくと思います。なんにせよ、今ある偉大な企業は継続的にPMFをクリアし続けて今があるといったことが言えるでしょう。
web3は過小評価されている?web2プロダクトとのメトリクス(指標)の違い
web2領域で成功指標のひとつとして使われているPMFですが、ジェフ・モリス氏はweb3ではCrypto Market Fit=CMFという新しい定義を提案しています。彼によるとweb3ネイティブプロダクトはPMFではなくweb3型のCMFという指標でしか表せられないものがあると記事の中で述べています。
まずPMFしているかどうかの基準として、マンスリーアクティブユーザー(MAU)、デイリーアクティブユーザー(DAU)といったユーザーアクセス数があります。やはりFacebook、Twitter、TikTok、Discord、Snapchatなどは膨大なボリュームです。そういったweb2領域の何億人、何千万ユーザーと比べると、web3だとやはり何百分の1ぐらいの規模となります。
web2のPV数は、1度アクセスすればDAUとしてカウントされます。それに対して、web3サービスは現在のところ充実したUX/UIやモバイルアプリ、プッシュ通知もなくいたってシンプルなものが多いです。
例えば、web3サービスで有名なUniswapは、本当に画面ひとつで取引が完結します。ユーザーは取引する際にUI/UXを気にせず、シンプルにただ交換したいトークン、自分の持ってるトークン、スワップ先のトークンを入力してスワップボタンを押しているだけです。
それに比べ、web2型のTinderの右スワイプ、Instagramのスクロールなどユーザーが操作するたびにDAUとしてカウントすれば圧倒的に数が大きくなるのは当たり前です。
そういったところでweb3では、ユーザー数ではなく一人当たりのユーザーのクオリティや生み出す価値も評価しなければマーケットフィットしているかどうかが判断できない、という主張からCMFという新しい言葉を生みだしました。
先に結論を言いますと、CMFを達成するためには以下の3ステップの戦略がweb3プロトコルのひとつの勝ち方だと考えます。
1.まず最初にアプリケーションを作る
2.アプリ上に質の高いユーザー、つまりデベロッパーとなるユーザーを集める
3.そこから自分たちのアプリケーションのインフラとなるプロトコルの開発を担ってもらう
以下にてさらに解説していきたいと思います。
CoinbaseのKPI(重要業績評価指数)の比較
では、まず具体的にweb2とweb3のユーザーの違いといったところを具体例を挙げながら解説していきたいと思います。
まず、アメリカで上場している大手取引所、中央集権的なCoinbaseとユニスワップを比較してみます。一従業員あたりの売上は、Coinbaseは2022年1月ぐらいで1.38億円、Uniswapは約15億円です。(上記の数値は2022年10月に書かれたものです)
ユニスワップは、53名ぐらいの少人数のチームで多くの売上を達成しています。2022年の第一四半期において、Coinbaseは7500億円、Uniswapは1700億円。もちろんユニスワップの方が少ないですが、従業員数は約5000名に対して、53名ぐらいですので従業員は100分の1ぐらいで売り上げは5分の1といった数値になっています。
そして、Coinbaseの月間取引ユーザーの2.3%でユニスワップは79%の取引量をこなしているとこの記事では述べられています。
ここから、Uniswapは一従業員当たりのレバレッジが効いていて、また使用しているユーザーの質の違いもわかると思います。よくUniswapの取引は、クジラというか億り人のような大口の機関投資家が使っているのに対して、Coinbaseのような中央集権的なところは個人トレーダーの方が使っているといわれています。
興味深いのは、Uniswapは個人投資家でもトレーダーでも誰でも使えるオープンなサービスなのに、これだけ集まるユーザーの質が違うといったところです。これだけの売上を2018年11月にローンチした3-4年で、わずかなメンバーで達成して、これからもっとマーケットが拡大していくと考えるとUniswapの成長はまだまだこれからといったところも見えてくると思います。
RobinhoodのKPIの比較
もう一つ、Robinhoodという投資アプリのサービスと比較してみます。日本では有名ではありませんが、アメリカでは上場もしていて株などの売買が手数料無料でできる若者向けのアプリです。
こちらも面白い数値が出ていて、月間アクティブユーザーに対する1日のアクティブユーザーの比率を示すDAU/MAU比(アクティブ率)という指標で、Robinhoodは48%となっています。つまり一か月のうち、毎日使っているユーザーが48%もいると発表されています。
対して、UniswapのDAU/MAU比は11%。つまり5倍ほどアクティブ率が違います。ただ、このRobinhoodのDAUの定義は、ログインして画面を遷移しただけ、つまり取引しなくても画面から画面に移っただけでカウントしています。DAUの定義としては間違ってはないのですが、そういった数値なのです。
そういった見せかけの数値をバニティマトリクス(虚栄の指標)といって、実際の売上やプロダクトの成長に貢献していないような数字も指標として発表して、しっかり成長しているというアピール材料として使われたりします。
僕も色々アプリなど作っているのですが、アプリやSNSのフォロワー数、PV 数だったりYouTube の再生数を稼いでも売上に直結しないことはよくありました。
売上やユーザー数を多く並べてすごいサービスです、とアピールするのは業界の常套手段というか箔をつけるための数字として結構あったりします。そして、web2系はそういったバニティマトリクス的な数字はいくらでも立てられます。
それに対して、UniswapのDAUはスワップを前提とした数値です。前回のエピソードで話したDuneAnalyticsの数字は基本オンチェーンのデータですので、実際のトランザクション数となります。web3領域においての数字はオープンです。web2だとPV数は基本的に運営がオープンにしないとわかりませんが、web3系のサービスはオンチェーンのアナリティクスから誰でも確認が出来ます。
Duneのトランザクションなどのデータは、実際にお金が動いているような数字ですので、エンゲージメントがとても高いです。こういったところからもweb2とweb3プロダクトにおける各指標の数の重みの違いがわかると思います。
今までのweb2領域では、プロダクトマネージャーやマーケターはいかにDAUを増やすか、いかにプッシュ通知して画面遷移させPVを増やすかに集中してきたと思います。
PV数を無理やり上げて、広告費を稼ぐ手段などもあります。ですが、オンチェーン上でオープンにしているweb3領域では今のところそういったテクニックは通用しません。ですので、web3でマーケットフィットしているかどうかをweb2サービスのユーザーアクセス数と比較したところであまり評価はできないといったところがいえると思います。
Robinhoodは、企業としての純利益(損失)は約14億ドルになります。これは、約4000人の従業員に対しての報酬や給料、マーケティングコストをまかなった結果です。分散型システムとして少人数で運営しているUniswapに対して、4000-5000人規模のスタッフで運営しているRobinhoodやCoinbaseとは、やはり顧客の価値や運営の仕方も違ってくると思います。
ちなみにUniswapは女性のスタッフが半分ぐらいいるようなダイバーシティなチームです。Robinhoodに限らず、多くのweb2企業は従業員の給料とマーケティングにかなりのコストを支払っています。
そして、web3においての勝ち筋は前述したようにエンドユーザーを多く集めるようなマーケティングではなくデベロッパーに対してのマーケティングだと考えます。マーケティングのターゲットを変える必要があります。
自分たちのソースコード、つまりプロトコルとなるスマートコントラクトを開発者の人達に使ってもらい、色々周辺のサービスを作ってもらって引き込んでいくことを目指すべきです。
CMや広告を出さなくても、デベロッパーをエンゲージしていければ自社のエコシステムは拡大し事業として成立していきます。スマートコントラクトは、1度デプロイすればメンテナンス不要で動くので予算が少ない小規模のチームでも運営できますし、良いプロトコルが出来れば大規模なマーケティングも必要なく、どんどんネットワーク効果で広がり、規模が拡大するといった良い意味でのインターネットらしさが期待できると思います。
では、こういった状況を作るためにはどうすればいいのか?といったところに移りたいと思います。
どうCMFを目指すのか?
今までweb3ネイティブのプロダクトは、数ではなくユーザーの質を追求しながらCMFを目指しましょう、といった話をしました。
では、どうすればCMFを達成できるのでしょう?
今までのブルマーケット(強気相場)では、エアドロップやフリーミント、ウェイティングリストといった金銭的なインセンティブ、バラまきをすれば幅広いオーディエンスを獲得できて利益をお互いに得ることができました。
しかし、現在の冷え込んでいるベアマーケット(弱気相場)だと、金銭的なインセンティブで獲得したユーザーは熱が冷めたらすぐに売っていなくなります。そもそもバラまきはプロダクトに価値があるかどうか考えず、お小遣い目当てで群がる人だらけになりがちです。
僕もよく言いますが、いきなりトークンを配ったり、NFTコレクティブでお金を集めたり、ユーザーを集めるのはイケてないなやり方だと思います。まだマーケットが伸びていたら成立するかもしれませんが、いよいよ無理になってきたと思います。
万が一、マーケットが伸びていても、もうバラまきをやってもトークンやエアドロ目当ての質の低い人たちしか集まらず、すぐにバッドスパイラルに入り込むでしょう。
ですので、金銭的インセンティブに頼らず、しっかりデベロッパーを巻き込み、プロトコルの価値をつけていくような戦略を取るべきです。そこでFarcasterという分散型ソーシャルメディアのプロトコルがそういったことを実現しようとしていますので紹介していきたいと思います。
Farcasterについて
Farcasterのサイトトップにはこう書かれています。
Farcasterは十分に分散化されたソーシャルネットワークである。電子メールのように多くのクライアントをサポートすることができるオープンなプロトコルです。ユーザーは自分のソーシャルアイデンティティをアプリケーション間で移動させる自由を常に持ち、開発者はネットワーク上に新しい機能を持つアプリケーションを構築する自由を常に持つことができるのです
Farcasterはデフォルトの状態ではTwitterによく似たUIとなっていますが、分散型ソーシャルネットワークのプロダクトです。
Farcasterの面白いところは、分散型ソーシャルメディアとして、ユーザーのフォロー、フォロワーの関係や投稿したコンテンツが全部プロトコルに蓄積されていくところです。そして、そのプロトコルを利用して誰でも好きなアプリケーションやクライアントを作ることができます。
Twitterも昔は利用制限なしにAPIを公開していて、誰でもTwitterアプリケーションを作れました。そのUIやデザインを全部変えたりできたんですが、 たくさんのデベロッパーが使用した結果、アクセスが集中してシステムダウンが多発しました(そうです、クジラのやつです)。
加えて当時は、マネタイズの手段も無く、マネタイズするために一度全部のAPIを遮断して他のクライアントアプリを使えなくして、現在のTwitterアプリひとつに統合したという経緯もあります。今とは違って昔は有象無象のTwitterクライアントアプリがあったのが懐かしい…(Echofonを5年以上使っていました..w)
現在Twitter社は自社アプリ内で広告を出すことでマネタイズしてしていますが、当時、そこのAPIを使ってクライアントアプリを作っていたような企業は立ち行かなくなってしまいました。
言ってしまえば、Farcasterは昔のTwitterがやってたようなこと(APIの公開からのクライアントアプリエコシステムを構築)をやっているのです。もちろんAPIというよりプロトコルですので、それこそジャック・ドーシーがやろうとしているAT protocolと同じようなことをやっています。
FarcasterはEthereum上に作っているプロトコルなので、Polygon上に作っているLens Protocolだったり、Ceramic上に作っているOrbitなどが競合になります。
また、Cyber Connectのように、いろんなレイヤーの上でweb3プロトコルを作ろうとしているようなプレイヤーもいます。とにかくweb3のソーシャルメディアはどこが先に覇権を取るかというのはかなり注目されていますね。
ちなみにFarcasterは、 今はアカウントを持っているユーザーからの招待もあるようですが、基本はファウンダーの人に直接DMをしないとアカウントを発行してもらえないような仕組みになっています。あえてクローズにして高いユーザークオリティを保ちつつ、徐々に徐々にアプリケーションの価値を高めていっています。
招待制といえば、以前だとPinterestやFacebook、Clubhouseも採用していましたよね。Farcasterは100万ユーザーまで招待制にして、良質なユーザーしか招待しないみたいなことを言ってます。サービスが軌道に乗るまでは、本当にイケてる人たちだけを集めて、その人たちが使ってるアプリだから使わないと乗り遅れるといったFOMO( fear of missing out=取り残されることへの恐れ)的な心理も巧みに使っているようです。
そういった口コミが良質なデベロッパーを引き寄せる、といった動機付けにもなっています。
今後Farcasterはデベロッパーを巻き込んで、Q&AやAMAに重点を置いているようなクライアントアプリだったり、画像やNFTなどのビジュアルコンテンツを表示するためのUXに特化したようなアプリなど、ニッチなアプリをどんどん開発してもらってユーザーの注目を集めつつつ様々なユースケースを展開していってもらえることをチームは期待しているようです。
こういったように、まずはプロジェクトの初期段階でアプリケーションに良質なユーザーをエンゲージメントさせることで、アプリケーションを作るか、プロトコルを作るかの2択ではなく、同時進行させられる仕組みを作っているのはすごいですね。
すでに色々な便利なアプリがあるので、アプリケーションを成長させていくのもそう簡単ではないので、web3領域では長期的に価値が増大していくプロトコルを最初から目指しがちではあるんですけども、 そこをしっかりアプリケーションも整えて攻めているというのは面白いです。
やっぱり、まだまだCrypto領域でアクティブなデベロッパーはまだ極めて少ない状況です。オフチェーンで開発している人はもっと多いでしょうから、そういったユーザーを自分たちのweb3側のアプリケーションに引き込むような仕組みを考える必要もあります。
ただ、この記事にありますが、プロダクト主導のプロトコルで、プロトコルの前にアプリケーションを出すのは非常に難易度が高いからあまりお勧めはしないとも書いています。基本的にかなり優秀なチームじゃないと実行が困難な網渡り行為です、と。 最高のプロダクトチームとエンジニアリングチームだけが生き残れるアプローチなのです。
僕もAKINDOを作っていて、まさに同じような考えでしたので非常に共感しています。僕はいつもweb3FMの冒頭で「web3ハッカソンプラットフォーム、AKINDOを開発している金城です」と言ってますが今はAKINDOはプロトコルではなくアプリケーションとして作っています。AKINDOはプラットフォームとして、その使われ方やパラメーターを分析して日々今後に向けたプロトコル化への最適解を考えています。
どんな良質なハッカソンでも、デベロッパーさんがいないとワークしませんので最初にその入口を作り、使いやすいUI/UXにしてデベロッパーさんをきちんと集めるといった仕組み作りを意識しています。
また、AKINDOというブランドがしっかりワークするハッカソンを作っていくなど、そういう使われ方を見た上でプロトコルに落とし込んでいこうというような戦略でやってたりもしています。
ですので、まさに同じようなことをこのFarcasterが戦略的にやってると思い、すごく共感しています。自分がやってることは間違いじゃないんだ、と。
プロジェクトの初期段階に、良質な人を集めて良いコミュニティを作り、継続的に人が集まるネットワークを構築し、それがまたコミュニティを成長させていくという流れをアプリケーションレイヤーからやっていくといったところが戦略的に面白いなと思います。
ここで記事の抜粋なんですが、
ほとんどのプロジェクトは、アプリケーションレイヤーで開発者が関心を持つのに十分な強力なコミュニティを開発するのに苦労するため、これがロードマップ戦略である場合は注意して進めてください。アプリケーション段階を超えることはありません
と書かれています。『フィールド・オブ・ドリームス』という映画のように、野球場を作ったら名プレイヤーの幽霊たちが野球しに来て大勢の観客が集まる、といったように良いプロトコルさえ作れば人が集まるといったものを開発者は夢見るのですがなかなかそれは実現しません。
最初に、いきなりUIのないスマートコントラクトだけのプロトコルで勝負していくというのは難しいです。きちんとそれを体現するようなアプリケーションレイヤーの作り込みだったりそこに対してのクオリティの高いユーザーの巻き込み方が重要だと考えます。
Farcasterはもともと優秀なチームで、a16zなどから出資を受けているようなプロダクトなので、そもそもイケてる人たちを集めやすいというのは正直あります。なかなか普通のチームがアプリケーション作ったからといって、そこに優れたユーザーを集めるのも難しいんですが、それでもプロトコルから勝負するよりは、アプリケーションから勝負した方が価値を感じてコミットしてくれるデベロッパーは巻き込みやすいんじゃないかとは思います。
ですので、Crypto Market Fitのひとつの最適解としては、良いアプリケーションを作って、良質なユーザーを集め、ユーザーに自分たちのプロトコルに降りてきてもらい、そのプロトコルを使ってデフォルトアプリケーションとは別軸のアプリケーションを開発してもらって自然にエコシステムやコミュニティを広げてもらう、といったところになると思います。
ここで僕のやり方も参考としてお話しさせて頂きます。
質の高いユーザーをどう集めるか?というところで、まずハッカソンを自分たちで企画して、自分で最初にいろんなプロトコルやスポンサーさんを集めました。それで現在は、700名ほどのデベロッパーさんにアプリケーションにサインアップしてもらっているので、そのデベロッパーさんたちをフックに、またイケてるスポンサーさんやハッカソンを企画するような企業を巻き込んでいっています。
どんどんハッカソンを開催していくことで、どんどん新しいデベロッパーさんが集まってくる、新しいデベロッパーが集まるから、他のハッカソンの主催者を巻き込みやすくなるっていうようなポジティブサイクルを回すようにしています。最初の0→1は、僕が2ヶ月ぐらいかけてハッカソンを企画したように立ち上げはどうしても汗をかいて大変にはなるんですけども。
もうひとつ面白い記事を紹介しますと、
ユーザーはプロトコルを使用するのではなく、アプリを使用します。したがって、プロトコルを構築することが目標である場合は、開発者がプロトコル上での構築に興味を持ち始めるのに十分な数の qDAU(Quality Daily Active Users=質の高いDAU) の注目を集めるのに十分な高品質の最初のアプリを構築する必要があります”
これもめちゃくちゃ良いなと思います。Ethereum・ Aptos・Solana・Avalanche・ Binanceそれぞれコミュニティの色が違うので、開発者としてはどんな人たちがユーザーになるのかをよく見る必要があります。
やっぱり、そこのチェーンを使ってプロトコルを開発すれば、そこの大陸の人たちがユーザーになるので、良質なアプリを作り、そこの開発者の人たちにいかに早く関心を持ってもらって巻き込めるかといった分析も大事だと思います。 アプリケーション初期段階で良質なユーザーが集められれば自然とデベロッパーの開発するモチベーションも高まりますよね。
僕としては、ハッカソンを作ってるので正直ハッカソンをぜひやって頂きたいというのはあるんですが、そのアプローチ以外にも、めちゃくちゃ大変だとは思いますが良質なアプリケーションを作って、どうにか頑張って良質なユーザーを集めて開発者に対して魅力的なプロトコルとして認識していただくというアプローチがCrypto Market Fitの一つのあり方なのかなと思いました。
今回もご拝聴、ありがとうございました!
いつも web3FM を楽しく拝聴しています。おもしろコンテンツをありがとうございます!
今回、書き起こしをざっと読んでみたのですが、文中の
・「僕も色々アプリなど作っているのですが」
・「僕もよく言いますが」
の「僕」が誰なのかわからなくて少し読むのに苦労しました。わたしは web3FM をよく聴いていて、複数人でトークしているポッドキャストだ、という前提を有しているから余計にそう感じるのかもしれません。記事の著者が個人の記名ではなくて web3FM になっているから、というのも一因とは思います。
とくにアクションを求めるものではありません。なにかしら参考になれば幸いです。今後の更新も楽しみにしています!